2012年6月16日土曜日

セデック・バレ 賽德克巴萊 第一部 「太陽旗」かなり(超)ネタばれ鑑賞ガイド 第三回

「太陽旗」ネタばれ鑑賞ガイド 第一回はこちら

この色の年号表記は劇中には有りません


◆シーン13◆マヘボ社 (1930年10月7日)
婚礼の為の獲物を捌いている。
モーナが、痩せている子供達に肉を沢山与えなさいとサプゥ(モーナの長女マホンの夫)に告げる。
バッサオ(モーナの次男)がモーナに、最近牛肉を食べていないので、解体の許可を願い出る。
足りないなら、解体しなさい、と許可する。
村中大喜びで頭目モーナを讃える。

皆が喜んでいる隙に小屋に戻り、密かに隠してある甕の中にマッチの先端を削る作業をする。

タダオ・モーナが解体中の猪の頭を切断し頭上に掲げ
「日本の総督の首を取ったど~」
と村中に叫ぶと、大歓声が沸く。

そこへ、吉村巡査が通りがかる。
ここから日本語の台詞で
吉村「おお~盛り上がってるな~」
タダオ「吉村巡査」
「今日は誰の結婚式?」
「オトン・ルビとルビ・バワンの結婚式です。さあ、お酒をどうぞ」
「いらん」
「一緒に楽しみましょう」
「いらんて、そんな・・・・・唾で造った汚い酒はいらん!・・・」
「さあ、飲みましょう」
「・・いらんって、そんな汚い・・・・・血だらけの・・・」
吉村はタダオを突き飛ばす。
セデック語で
「好意であなたを誘ったのに・・・・くそ野郎!」
吉村、血だらけじゃないか、と怒鳴りながらステッキを打ちおろす。
日本語で
「酒を勧めてるのに、私をぶつのか?」
「ぶたんと分からんだろう! ぶたんと!」
更に、ステッキで殴り、あたり構わず振り回す。
「貴様ら蕃人は言ってもわからんだろう・・・」
村中の蕃人が集まって来る。
「さっき、豚の頭を掴んで蕃語で何と言った~!もう一度日本語で行ってみろ~!言えるもんなら~!」
タダオ、バッサオと取っ組み合いになり、地面に組伏せられ、蕃人達に暴行を加えられる。

マッチの火薬を集めていたモーナが騒ぎに気付き、首を落としにかかったタダオとバッサオを退ける。
泣き喚く吉村を立ち上らせ、制帽を被せ、制服の汚れを払いながら、駐在所から飛んできた杉浦に引き渡す。

怒り収まらぬタダオが、「殺してしまえ!」と叫ぶが、モーナに一喝される。
杉浦に引き摺られながら、吉村は
「貴様ら、もう終わりだぞ・・・・・警察敵にまわしたぞ・・・必ず貴様らのマヘボ社を焼き尽くすぞ・・」
と脅しながら戻って行く。

タダオがモーナに、「先にやってしまいましょう、奴らは見逃してくれない」と訴えると、
「これ以上刺激してどうなる?お前は闇雲に追いかけ回す制御のきかない猟犬と同じだ!私がお前達よりどれだけ耐え忍んできたか!」
困惑する一族達・・・・




吉村「いまさら酒で誤魔化しに来たか・・・もう遅いわ。巡査殴打の件について上申済みだ」
モーナ父子は酒甕を抱えて、吉村巡査の元へ謝罪に来た。
「言っておくが・・・今回の件は貴様らの部落全体で落とし前をつけてもらうからな」
モーナ「吉村・・・このモーナ・ルーダオが謝罪に来たんだ。面子を潰さないでくれ」
「モーナ・ルーダオが何だ・・・・・まだ自分が蕃王かなんかだと思ってるのか?
      手前の息子の面倒も見られんくせに・・頭目の資格があるとでも思ってるのか!」
さんざん罵倒し、二度と来るなと追い返す。

◆シーン14◆霧社警察官吏駐在所
昼食を食べに駐在所に戻って来た花岡二郎に、江川博通警察課長が素性を訪ねる。
出身地と本名を答えたところで、佐塚が補足する。
「もう一人、蕃人の警官に花岡一郎というのがおります。奴は霧社の警官の中で一番学歴の高い男です」
江川警察課長が午後から、各蕃社の視察をしたいので同行を求めるが、恐縮しながら、別の用事があると辞退する。
佐塚が、視察を優先しろと命令するが、江川警察課長は「構わないんだ」と言って二郎の用事を尊重する。

◆シーン15◆霧社武道場
花岡一郎、二郎が柔道の稽古をつけている。

二郎「吉村は、タドゥの事件を、分室に報告しています」
頭目自ら謝罪に行ったのに、訴えを取り下げなかった吉村に失望したと話す。
一郎は吉村と比較して、理解しようとしてくれる小島がマヘボで暮していたら、事件が起きても、こんなに深刻にならなかったろうと落胆した様子で言う。

二郎が回想しながら語る
"幼い頃から大きくなるまで"
"頭目のモーナが怖かった"
"常にマントの下に手を隠し"
"鉈を握り、直ぐにも狩り殺す準備が出来ている"
"あなどっては駄目だ"
"彼を抑えることは不可能だ"

一郎「部族の仲間の期待と、日本人の威嚇に挟まれている」
        「暮らしも大変な苦痛を負っている」

二郎「我々二人の暮らしぶりは同様ですか?・・・・・蕃人でいたくない。
           しかし、どんなに日本人のように振る舞ってみても、顔つきは変えられず、文明人として認めてくれない」
一郎「我々は、20年の間、耐え忍んできた。もう20年、辛抱することもできるだろう。
          子供たちが成長すれば、多分、永久に蕃人のイメージを変えているだろう」
二郎「耐えきれますか?・・・・・マヘボ社は、すぐに一掃されるかもしれません」

◆シーン16◆に続く

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