2012年6月16日土曜日

セデック・バレ 賽德克巴萊 第一部 「太陽旗」かなり(超)ネタばれ鑑賞ガイド 第二回

「太陽旗」ネタばれ鑑賞ガイド 第一回はこちら

この色の年号表記は劇中には有りません


◆シーン08◆霧社 1930年 (23年後)
マヘボの蕃人が、大きな丸太を担ぎ険しい山道を下りて来る。
木村祐一扮する霧社分室主任、佐塚愛佑警部登場。
(白狗群マシトバオン社の頭目の娘が妻)
「我々の手によって文明化されました」
新任の江川博通警察課長に霧社の現況を説明する。
山奥から一日がかりで材木を運ぶ蕃人について
「幾らかの金を与えて、酒でも買いに行かせてやれば、それで喜んでいますよ」
不遜な態度をとる佐塚に対し、江川は困惑した様子を見せる。

霧社の漢人が営む商店で蕃人が酒をあおりながら、適正な賃金を払ってくれないと愚痴をこぼす。
そこへ、警手となった花岡二郎が現れる。
※参考※
悲劇の主人公、花岡一郎、二郎両名について
霧社群荷戈社出身の蕃人
実の兄弟では無く親戚関係
一郎は1925年埔里小学校高等科一年を中退
台中師範学校講習科に入学
1928年に卒業、教師を希望していたが、霧社にて乙種巡査となる
劇中、ボアルン蕃童教育所で教鞭を取るカットが挿入されている。
妻は花子
二郎は
埔里小学校高等科卒業
警手(巡査の次)となる
妻は初子(歐嬪オビン・タダオ、荷戈社頭目タダオ・ノーカンの娘=ビビアン・スー)
ちなみに、花岡両名と同じく、花子、初子らは、蕃人ながら、日本人子弟が通う霧社小学校で、幼少の頃より日本化教育を受けている、模範蕃

二郎が、蕃人達に雨が降る前に、一生懸命稼いだ金を無駄使いせず帰れと窘める。
蕃人達は二郎を嘲笑する。雨が降り出し、
「せっかく被った貴重な日本人の皮がびしょびしょになるぞ」

場面変わり、日本人女性が蕃婦(メイド)に叱咤する。
雨が降って来ており、洗濯物を取り込むように指示をする
「何を先にすればいいかも分からないんだから、まったく教えにくいな・・・」
ところが、赤ん坊を背負ったまま外に出てしまう。
「お戻り! おぶって行ったら子供が濡れるだろ!」
「はい、すみません」
「どうしてこんなに馬鹿なのかね・・・これで結婚するって言うんだから、まったく・・・」

場面変わり、霧社警察官吏駐在所に戻る二郎。
佐塚が、江川に二郎を紹介する。
二郎の姿を追う江川の眼差しは優しい。

更に場面が変わり、蕃童教育所から一郎が慌てて走り出す。
どうやら、子供が生まれるので慌てているらしい。
ここからの台詞が意味不明で、その慌てて走る姿を見て話す、日本人警官の台詞が
蕃人の親から日本人の子供が生まれるもんか
一郎が出産中の部屋に飛び込んで放つ日本語の台詞が
春子!大丈夫か!」
しかし、蕃婦の産婆に「ここは女の仕事場よ!」と怒鳴られ追いだされる。

あれれ???かみさんは、蕃人で、花子では?

中文字幕も英文も春子だし、聞き取りも春子なんだよな・・・uとaの聞き違い?
物語上は些細な事だから見逃して構わないけどね。
次のシーンの最後のカットで花子になってるからケアレスミスかな?
日本人の台詞は、二人とも教育により日本化したからと言って、日本人として認められないと言う意味に取れなくもないか・・・
そう言うことなのかな?!

そして・・・実は、第二部「虹の橋」でも締め括りの大事な台詞が残念なことに・・・

場面変わり、霧社の山奥でタダオ・モーナ(ルダオの長男)等10名近くが木を伐採している。
雷鳴が聞こえ、虹が現れ、それを見た彼らが歌い踊り出す。
♪聞け、皆の者♪
♪見よ、皆の者♪
♪ああ、我々の戦士♪
♪若い松の芽のような♪
♪真の戦士!♪
♪降りしきる落ち葉の中で死を覚悟する♪
♪枯れ行く松の枝のごとく死を覚悟する♪
♪彼らは首を刈って帰る♪
♪松葉は死を覚悟した戦士のようだ!♪

◆シーン09◆鉄製の吊り橋、マヘボ警察官吏駐在所からパンして俯瞰でマヘボ部落を望む・・
子供蕃のリーダー的少年パワン・ナウィと頭目モーナ・ルーダオの会話。
(パワン・ナウィは第二部「虹の橋」でランボーもびっくり!?八面六臂の働きをする)
雨の中、軒下で一人学校をさぼるパワンを、モーナが呼び寄せ酒を勧める。
パワンは具合が悪いと言い訳するが、モーナは顔の痣を見逃さず、
「先生が叩いたのか?」
酒をあおりながら、パワンは、日本人とのかけっこで勝ったが、負けた日本人が泣きだした。
それを見た先生が、いじめと勘違いし、叩かれたと言う。
酒をもう一杯所望し、一気に飲み干す。
そして、運動会でのリベンジを誓い、日本人が嫌いだと告げる。
酒を勝手に甕から酌もうとするも、取り上げられる。
パワンの祖父から若い頃は英雄だったと聞きましたと問うと、
苦笑いしながら、今もそうだよと答えるモーナ。

次の狩りに同行を求めるが、
「パワン、お前の猟場はどこにある?」と往なされる。
追おうとするも、酩酊状態で足を掬われるパワン・・・

◆シーン10◆マヘボ製材場(所)
ヒール役?の吉村巡査登場。
当時、切り出した丸太を傷を付けない為、肩に担いで運搬する決まりになっていた。
吉村巡査は、傷が付いた丸太を見て、蕃人達を激しく叱責する。
足を滑らせ、丸太を落下紛失させてしまった蕃人を激しく殴打する。
勢い余り、いつの間にか近づいていたモーナ・ルダオの足元に倒れる。
「吉村タイジン。そんなところから俺を見て、目を突き刺してほしいのか?」
(個人用字幕は「吉村大人(様)」)
吉村は透かさず立ち上り、
「何様だモーナ・ルーダオ?マヘボの大将は、あんたじゃないだろう・・・わしだよ!」
そして、賃金はやらん、弁償しろ等、悪態をつきながら事務所に戻る。
責められた蕃人達は憤懣遣る方無い思いをぶつけるが、モーナに戻れと一喝される。
事務所に戻った吉村に同僚が
「吉村、どうしてそこまでするんだ?これ以上あいつらに構うな」
吉村「新米のお前に何が分るんだよ!教育してるんだろうがよ!」
製材場(所)から出て行くモーナ達を睨みながら、
「くそっ、野蛮人が・・・・・見てろよ・・・」

◆シーン11◆霧社警察官吏駐在所
タダオ・モーナ達、若者が、仲間の結婚式の準備の為、狩りに使う銃を借りに来る。
木村祐一扮する佐塚警部がセデック語で
「何だ? 銃を借りに来たのか?貴様らの父、モーナ・ルーダオから聞いてるよ。狩りの為に沢山動員したのか?」
すると、ダダオ・モーナがセデック語で嫌味を言いながら駐在所を出る。
「ああ、でも失われつつある森の何処に獲物がいる?我々の猟場の殆どの木を切り倒してしまった・・・」
気に障った、佐塚は、日本語で怒鳴る。
「タドゥ・モーナ!口の聞き方に気をつけろ!」
タダオ達を見送りながら、
「生蕃は、しょせん生蕃だ・・・礼儀知らずめ・・・」

◆シーン12◆霧社近辺の山中マヘボの猟場
モーナ・ルダオ率いる男達が、マヘボの猟場で婚礼用の獲物を探している。
猟犬と共に小鹿を追っていると、一人で狩りに来ているパワン・ナウィと遭遇する。
渓流に落ちる小鹿を果敢に飛び込み追うパワン。
激流に揉まれながらも、素手で小鹿を捕まえる。
見守る大人達、頭目モーナに向けて、「僕の猟場はここです!」と叫ぶ。
が、森の中から銃声が響く。
慌てて銃声の方角へ走る大人達。すると・・・


モーナ・ルダオ「ティム・ワリスか?...」
大人になったティム・ワリスと対峙する。
「貴様、ここがマヘボの猟場と知ってか!」
そこへ、良い?日本人役、安藤政信扮する私服姿の小島源治巡査部長(タウツァ社駐在所勤務)登場。

小島はセデック語で、長男の初めての狩りの案内と方法を教えてもらう為、ティムに頼んだと説明する。
しかし、どんな理由があろうともマヘボの猟場に入ることは許されないと譲らない。
ティムは、叔父が生きていた頃は、元々自分達(道澤人)の猟場だった、それをマヘボが奪った。そこへ、ティムの仲間が、「だから、取り返すことも出来る!」と反論する。
その小競り合いに、小島が割って入る。
セデック語で
「モーナ、ここは、私の面子を立ててくれないか?」
すると、小島がマヘボで暮らしているなら、その面子も立てるが、頓巴拉で暮している奴の面子を立てる理由がないと返答する。
そして、ティム達を連れて出て行けと怒鳴りつけ、お互いに銃を向け合い更に険悪な空気になる。

そこへ、小島の長男が日本語で
「お前の猟場は、俺の猟場だって?すべては俺たち日本人の物じゃないか!」
と憎々しげな顔で言ってのける。
結果、その場が呆けた空気になってしまい、モーナ側はそこを離れて行く。

離れ際に、タダオ・モーナが、「いつか、お前等一族を滅ぼしてやる」と言い残す。

去っていくモーナ達を睨みながらティムは
「やれるものなら、やってみろ・・・どっちが先に死ぬか見せてやる!」
「モーナ・ルーダオだろうと誰であろうと容赦せん!」

場面変わって、渓流で水を汲んでいる蕃婦を杉浦巡査(マヘボ駐在所勤務)がからかっている。
そこへ、通りかかったモーナ達が、杉浦を咎め、猟犬を放して追い払う。

◆シーン13◆へ続く

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